読売テレビ系列で毎週日曜日午後1時30分から放送されているこの番組。
元々は「たかじんのそこまで言って委員会」と言う番組でしたが、やしきたかじんさんが亡くなられてからは番組名も変更されて現在に至っています。
番組の見どころ
この番組は、毎回決まったテーマをパネラーとゲストがそれぞれの意見を言い合って、時には過激な言い争いや
単なるケンカじゃないか?
と思わせるような修羅場もそのまま放送される部分ではないか?と思います。言ってはならない言葉も飛び交っているらしく、当たり前に「ピー音」によってその言動を覆い隠す演出もこの番組ならではかと思います。
論客も様々ですが、基本的には右寄りの方々が中心で、議論を成立させるために左寄りの方もパネラーやゲストとして招かれます。が、
決して結論を出さない
と言うのもこの番組の良さではないかと思います。
天皇・皇室を考える
2017年1月15日放送では、昨年から「天皇陛下の生前退位」が話題になっていることと、今年に入ってから「平成30年で終了し、2019年から新元号で云々」と言う降って沸いたような話題もあってか
天皇・皇室を考える
と言うテーマで議論が進められました。
ゲストは次の方々でした。
ゲスト
百地章(ももちあきら)
日本の法学者で専攻は憲法学。日本大学法学部教授。国士舘大学大学院客員教授。
皇位継承問題に関しては男系による皇統護持を主張。女系となる女性宮家創設の動きを批判。
所功(ところいさお)
日本の法学者、歴史学者、法制史学者。専門は日本法制史。
「女系天皇」の必要性を主唱している。
高森明勅(たかもりあきのり)
日本の評論家、神道学者、歴史家、皇室研究者。
男系継承を支持する立場をとっていたが、現在は女系天皇容認に立場を転じている。
竹田さんの独壇場
皇室関連の話題となると、かならずクローズアップされるのがパネラーの竹田恒泰氏の発言でしょう。
竹田恒泰(たけだつねやす)
日本の政治評論家であり、作家、タレントでもある。
旧皇族の竹田家(旧竹田宮家)に生まれ、明治天皇の女系の玄孫(娘のひ孫)、今上天皇の再従甥(はとこの子)にあたる。竹田恆和は父。
竹田さんはどんな話題であっても歯に衣着せぬ直球の言い回しで持論を述べる小気味よさが気持ちいいのですが、時々相手を攻撃し子供のケンカのようになるのが玉に瑕か?だが、それもこの番組になくてはならない演出?でもあるので、重要なポジションを占めていると言えるでしょう。
今回のテーマではやはり
女系天皇を認めるか否か?
と言ったような流れになったのですが、ここで
- 天皇は血統でなるもの(血統の原理)
- 女系天皇なるものが出現したら私は天皇として認めない
- 血統が途絶えたらそれは天の意志
と言う過激な意見でゲスト、特に所氏と激しく衝突していましたね。暴論だといささか激高した面もあった所さんでしたが、この辺はもう少し相手の話も聞いた方が良いんじゃないか?と思うものの
委員会だから仕方ないか?
と思っていつも見ています。
何故男系か
男系論者の竹田さんや百地さんの話(特に百地さん)はわかりやすかったですね。現時点でのい皇位継承順位は
(順位・皇位継承資格者・性別・生年月日・今生天皇から見た続柄)
- 皇太子徳仁親王・男性・1960年2月23日生・第1皇男子
- 秋篠宮文仁親王・男性・1965年11月30日・第2皇男子
- 悠仁親王・男性・2006年9月6日・皇孫 / 秋篠宮文仁親王第1男子
- 常陸宮正仁親王・男性・1935年11月28日・皇弟 / 昭和天皇第2皇男子
であり、男系での皇位継承は現時点で可能な状況です。このまま天皇陛下が生前譲位された場合は皇太子徳仁親王が皇位を継承し、その次は状況にもよりますが悠仁親王と言う(秋篠宮文仁親王→悠仁親王と言う流れだが)のが予想できる現実的な流れかと思います。
男系については竹田さん自身が
「天皇の皇位がなぜ男系によって継承されてきたか」。これに答えるのは容易ではない。そもそも、人々の経験と英知に基づいて成長してきたものは、その存在理由を言語で説明することはできない。なぜなら、特定の理論に基づいて成立したのではないからだ。天皇そのものが理屈で説明できないように、その血統の原理も理屈で説明することはできないのである。
だが、理論よりも前に、存在する事実がある。男系継承の原理は古から変更されることなく、現在まで貫徹されてきた。これを重く捉えなくてはいけない。例えば、現存する世界最古の木造建築である法隆寺は、その学問的価値の内容にかかわらず、最古故にこれを簡単に立て替えてはいけない。同様に、天皇は男系により継承されてきた世界最古の血統であり、これを断絶させることはできない。
もはや理由などどうでもよいのである。特定の目的のために作られたものよりも、深く、複雑な存在理由が秘められていると考えなくてはいけない。
と述べています。また、番組中に百地さんが
「これまでに難しい状況があったにもかかわらず、皇室は男系によって継承されてきた。そこには様々な苦労や苦しみがあった中で受け継がれてきた伝統があり、それを我々の時代で簡単に変えると言うことが良いのか?と言うことも考えなくてはいけない」
と言っています。その点で見れば、外野が簡単に「男系だ女系だ」と言える問題でもない気がしました。これは天皇家の家としての問題だからですね。女性蔑視だとか、そのような話ではないと言うことは理解しておかなければ、田嶋陽子さんのように
単なる現代目線での浅い意見
になってしまいます。ただ、男系女系それぞれともに
皇室の存続を願っている
と言う点においては同じであると言うことは認識しておくべきかと思いました。
天皇はずっと象徴だった
憲法改正の話になった時に、第1条の天皇の地位に関する条文の改正の話になりました。その時に竹田さんからは
「GHQが作った憲法であり歯がゆさもあるものの、この件については怪我の功名と言うか、上手いところに落ち着いた」
と言う感想がありました。私も同感でした。古の時代については見識もないのでたいしたことは申せませんが、近代の日本における天皇の地位と言うのは絶対的ではあったものの、やはり日本国民を勇気づけ、鼓舞し、そして心の支えでもあった
まさに日本人を体現する象徴的存在
であったと思うのです。実際にも、天皇自身があれこれ自分の意志で決めて何かを成したと言うことはなく、明治であれ大正であれ昭和であれ、時の内閣や政治機関が決定した内容を承認することが天皇の役割であり、その主導権は常に国民側にあったのではないか?と言うのが個人的な印象です。その意思決定プロセスと統帥権と言う権限を悪用されたがために不幸な事態になったのが先の大戦での結果ではなかったか?と。
現状がよい
この番組としてはとても珍しく、全体としては大きな混乱もなく非常にまじめで高尚な意見討論となりました。それぞれの意見はあるものの、皇位継承権の問題にしても
基本は現状維持で、問題が明らかになった時点で考える
と言う、先送りではないですが消極論ながらも妥当な結論となりました。憲法改正や皇室典範改正に関しても同様で
現状維持
と言う落ち着くべきところに落ち着いた回となりました。
私も昔は「なぜ何の意味もない皇室があるのか?」と、いささか暴論的な考えを持っていた時代もありましたが、今は「天皇は男系により継承されてきた世界最古の血統であり、これは世界に誇るべき日本の伝統であり歴史であり文化である」と言う点で、皇室に対しての意識を新たにしたところです。