「わたしを離さないで」と言ってくれる人物は、誰?
ドラマが始まって、誰もが気にしたことかと思います。この言葉を叫んだのは、友人の美和(水川あさみ)でした。臓器提供者として生まれ死んでいった美和の叫びは、心が痛かったですね……。
しかし、さすが最終回!今度は恭子がとんでもないことを言いだします。
わたしを離さないで……
まずこのドラマのおさらいです。
しっかり者の恭子と、子供っぽい友彦。それに加えてワガママな面もあるムードメーカーな美和。彼らと他の子供たちは、陽光学苑というある施設で臓器提供者として育ちます。美和が妬みで恭子から友彦を奪ったりもしましたが、大人になると関係は改善します。
しかし、大人になった美和は提供されることに。美和の提供が開始されるとき、美和が「わたしを離さないで!」と叫んで連れていかれるのですが、恭子はどうすることもできないまま動揺します。
しかし、彼女がささやかながら残してくれた希望と、友彦と生きていくために、強く抵抗しようとしますが……。とうとう友彦の番が来てしまいました。
そんなとき、友彦の体に触れ、恭子があることを言います。
「わたしを離さないで……」
友彦が言うならまだしも、恭子がこのセリフを言うなんてかなりの驚きでした!
恭子は美和の気持ちを理解した?
「わたしを離さないで」というセリフを、友彦に向かって言った恭子のシーンは感動を通り越してインパクトありましたね。
確かに、友彦が提供されていき、ひとりぼっちにされてしまうわけですよね?
恭子は、友彦が提供されることにおびえているのと、同じくらい孤独で寂しかったのでしょうね。誰かに自分が「提供される」というのは、死んでしまうとか、誰かの体の一部になって生きることになります。
これってとてもおそろしいことです……。
しかし、それだけではなく、
「好きな人たちともう会えない」
というのも、恐怖なのではないでしょうか?
本当に意外ですが、提供されなかった恭子が、提供された美和の気持ちを誰よりも理解できてしまったシーンでもあると思います。
「わたしを離さないで」と美和は実際そう叫んでいたし、友彦も本当はそう思っていただろうし、残された恭子も同じセリフを言っています。みんな1人にはなりたくないのですね。
でも、離さないでということは……?
親友と恋人がいなくなり、恭子が最後に選んだ道は
彼らの後を追うこと
でした。深い海に身を投げようとしたのです。
しかし、そこへ……?
友彦の好きだったサッカーボールが流れていきます。
サッカーボールを拾い、強く抱きしめる恭子。友彦を抱きしめていたときと同じ表情にも見えますし、悲しみだけがそこにある……という感じにも見えて、切ない終わり方でした。
しかし、彼女はボールを離していません。離せば、ただのボールになって海に流れていくだけです。
わたしを離さないで!とそう言えるのは、離さないでいてくれる誰かが、少なくともその場ではそこにいたからです。そう考えると、彼ら仲良し3人組は幸せだったのではないでしょうか?
離さないでと言えるほど、掴んでいてくれる人たちがいたのですから。
当初思っていた衝撃的な結末にはならなかったのが救いだったような気がします。その後の恭子がどうなったのかも気になりますが、少なくとも、生まれてきたと言うことにクローンも何も関係がないのだと言う終わり方で安心したというのが正直なところです。